2024-09-23

オウンドメディアのKPI設定と戦略的な測定方法を徹底解説!

 

リベルタクリエイティブチーム

オウンドメディアを運用している企業担当者の方にとって、KPI(Key Performance Indicator)はメディアの方向性や成果を測る大切な指標です。

自社サービスの認知拡大や新規顧客の開拓、そしてロイヤル顧客育成などに有効なオウンドメディアは、「まずは始めてみよう」とスタートしても、なかなか成果が可視化されずに悩んでしまうことも多いもの。

そこで、オウンドメディアのKPI設定に必要な視点や、具体的な設定方法について詳しく解説していきましょう。

1. オウンドメディアにおけるKPIの考え方

自社のサービスや情報を発信するオウンドメディアを効果的に運用するには、KPIがとても大切です。
広告と違って運用コストを最小限に抑えながら活用できる反面、効果を出すには、運用からある程度の期間が必要なオウンドメディア。いったいなぜKPIが大切なのか、そしてKPIとは何なのか、まずはしっかりと理解しておきましょう。

1-1. オウンドメディアの運用でKPIが重要な理由

オウンドメディアは広告費がかからず、コツコツと更新することでメディア自体が自社の資産となっていきます。また、営業的要素を前面に打ち出すのではなく、見込み客やユーザーが必要とする情報を届けることで、ユーザーのファン化にも繋げられるなどのメリットがある点も大きな魅力でしょう。

ですが、オウンドメディアは運用開始から効果を感じるまでは半年から1年以上かかるといわれています。

そのため長期的な視点で、

  • どんなコンテンツを出すか
  • サイトの動線設計はどうすればいいか

…といった戦略が大切です。

こうした戦略を立てることで欠かせないのが、設定した目標達成にどのくらい近づいているかを知るための指標・KPIです。

たとえば、上の図は「月間成約数10件」を達成したいというゴール(KGI)を設定した場合の、KPIの例です。

月間成約数10件を達成するためには、問い合わせや資料請求からの成約率を計算し、「月30件の問い合わせ、月40件の資料請求」が必要だとします。

これらの目標数字をクリアするためには、サイトの訪問者数を増やしたり、動線設計やコンテンツ内容、構成を見直してCV率(コンバージョン率)を高めたりするなど、さまざまな方法があるでしょう。

KPIは、こうしたゴールを達成するためのプロセス上必要な定量的な目標数字です。

特にオウンドメディアでは、長期的な運用が前提となるため結果を出すために必要なプロセスをたどれているのかを常に確認しておく必要があります。KPIは、きちんと目標に近づけているかを測るための大切な指標なのです。

1-2. オウンドメディアのKPI設定で知っておきたいKGI・KSF

KPIを設定するためには、KGIとKSFが何を指すのかもしっかりと理解しておくことが大切です。すでにご存知の読者も多いとは思いますが、改めておさらいしておきましょう。

【KGIとは】

KGIはいわば、オウンドメディアの運営の目的や目標といった成果(ゴール)となる指標です。たとえば、メディアからの問い合わせ数や商品購入者数、リピーター率などがKGIとなります。

【KSFとは】

KSFは、目標達成や成功に貢献している要因のこと。
対面での商談やSNSの拡散などKSFがどこにあるかは商品や会社によっても大きく異なります。オウンドメディアを運用する際には、KPIを設定するためにもどこにKSFがあるかを常に考え続ける癖をつけましょう。

2. オウンドメディアのKPI設定は「ゴールから逆算」が基本

オウンドメディアでKPIを設定する際には、ゴールとなるKGIをきちんと決めるところから始めましょう。KGIがどこにあるかによって、KPIとして何を指標にするかは変わってきます。

ここからは、KPIの設定方法について、KGIからどう逆算して進めていけば良いのかを解説します。

2-1. STEP1|まずはKGIを設定

KPIを設定する上で、大前提となるのが「オウンドメディアの運営でどんなゴール(KGI)を目指すか」という視点です。

採用のためのオウンドメディアを作る場合を例に挙げると、KGIとして以下の様に設定することが多いでしょう。

応募者数を増やす(具体的に何人か設定できればベター)

また次のように、応募者の属性に関してもより具体的なゴールを設定することもあるかもしれません。

業界経験年数○年、有資格者の応募者を○人

このようにKGIは具体的であればあるほど、KPIの設定時にもより精度を高められます。

2-2. STEP2|オウンドメディアの活用方法に合わせてKPIを設定する

KGIを設定したら、達成するためにオウンドメディアをどう活用するのかを考えます。

KGIが認知拡大なのか、売り上げや問い合わせ数を増やすことなのか、それともブランディングなのかによって、KPIは変わってきます。

たとえば、オウンドメディアを通じて、まずは自社の存在や採用を行っていることを伝えたいなら、まず必要なのがUU数(ユニークユーザー数=ページ訪問者数)を増やすことがKPIになるでしょう。

他にも、KGI別にKPIの例を挙げてみると…

  • KGI「自社採用情報の認知拡大」→ KPI「ユニークユーザー数や閲覧数の獲得」
  • KGI「オウンドメディア訪問者の“知りたい”を刺激」→KPI「ページ内回遊率アップ」
  • KGI「応募数を増やす」→KPI「応募ページへの遷移率アップ」

などがKPI指標として考えられます。

このようにKPIはKGIをベースに設定していくことが必要です。

3. オウンドメディアのKPI設定に役立つテクニックと考え方3つ

オウンドメディアのKPI設定は、KGIから逆算するのが基本です。この原理原則を意識しながら、さらに精度を高めるために、次の3つのテクニックや考え方を取り入れてみましょう。

3-1. KPIツリーを作ってみる

KGIからKPIを導き出すためには、KPIツリーを作るとゴール達成のための道筋が見えやすくなります。

たとえば、自社サービスの新規顧客獲得に向けてオウンドメディアを作る場合、KGIは売り上げや契約数の増加となります。このKGIを頂点に、KGI達成に向けた道筋を図で表したものがKPIツリーです。

上のKPIツリーのように、KGI達成の道筋を逆算して必要なKPIを導き出していくと、自社のオウンドメディアの目的にあったKPIが具体的に見えてきます。

また、KPIは一度設定したらずっと見直さないのではなく、オウンドメディア運用を進める中で適宜マーケティングステージやオウンドメディアのコンテンツ量などに応じたKPIの追加や見直しを測っていくことも必要です。

たとえば、ブランドの認知拡大やファン化を目指すなら、メディア立ち上げ初期〜中期はコンテンツの閲覧数(PV数)がメインの指標となることも多いですが、メディアのコンテンツが増えたらページの滞在時間や回遊性、SNSのシェア数なども指標に加えた方が、より効果を測定しやすくなります。

3-2. オウンドメディアのKPI指標でよく使われる項目を参考にする

オウンドメディアのKPI指標としてよく使われる項目には、さまざまな指標があります。

ここでは、オウンドメディアの指標となることが多いものをご紹介します。KPIに何を見ればいいかわからないという方は、まずは次からご紹介する指標を参考にしてみてください。

CV数(問い合わせ数、購入数、応募数など)

CV(コンバージョン数)とは、目標を達成した数字です。
何をCVに据えるかはオウンドメディアの目的によっても異なりますが、問い合わせや購買数、会員登録、メール登録などがCVポイントとされることが多いです。

UU数

UU(ユニークユーザー)数とは、特定の期間内にオウンドメディアを訪れた訪問者の数です。
「Aさんが一定期間内に2度サイトを訪問している」という場合、UU数は1とカウントされます。サイトがどの程度の人に届いているのか、また新しい訪問者に届いているかを測る指標としてUU数はとても大切。
UU数が多ければ、オウンドメディアとしての魅力がきちんと伝わっていることがわかります。

PV数

PV(ページビュー)数は、訪問者がどのくらいオウンドメディア内のコンテンツ(ページ)を見たかを測る指標です。
オウンドメディアには様々なコンテンツがありますが、PV数が高いコンテンツは人気だということがわかります。コンテンツを追加する際には、人気コンテンツがなぜ見られているのかを紐解きながらより質の高い記事を作っていくと良いでしょう。

セッション数

特定期間内に訪問した数を表す指標をセッション数といいます。

たとえば、1人のユーザーがオウンドメディアサイトに入り3ページ閲覧した場合はセッション数は1、PV数は3とカウントされます。

また、UU数との違いは、特定期間内に同一ユーザーが何度もサイトを訪れた場合のカウント方法です。特定期間内に2回そのサイトを訪れた場合、UU数では1とカウントされるのに対し、セッション数は2とカウントされます。

ちなみに、Googleアナリティクスでは、セッション数がリセットされるのが「時間による期限切れ」「キャンペーンの切り替わり」という2つのタイミングとなっています。

時間による期限切れでは、操作が行われないまま30分経過したタイミングと午前0時を超えたタイミングでリセットされます。また、なんらかのキャンペーン経由でサイトにアクセスした場合。離脱して別のキャンペーン経由でサイトに再び戻ってくると、セッション数は2とカウントされます。

自然検索流入数

オウンドメディアがたくさんの人の目に止まっているかを測る指標として参考になるのが、自然検索流入数です。SEO対策の効果を図る上でも参考になります。
自然検索流入数は、GoogleやYahooなどのブラウザから特定のワードを検索して入ってきた数。検索エンジンで上位に表示されれば、自然検索流入数は多くなります。

目標ページへの到達数

オウンドメディアの目的が特定の商品の訴求や会員登録者数を増やすなど具体的に設定されている場合、目的を達成するために見てほしい目標ページにどのくらいの人が到達しているかを計測すると良いでしょう。

仮に、オウンドメディアサイト自体のUU数やPVが多いのに、目標ページ到達数がが伸び悩んでいるなら、サイトの動線設計に問題がある可能性があります。オウンドメディア内で目標ページへ遷移しにくいデザインになっていないか、目標ページへのリンクが少なくないか、などユーザー視点になってサイトのリンク配置などを見直してみましょう。

平均エンゲージメント時間

平均エンゲージメント時間、訪問したユーザーがそのサイトでページにフォーカスしていた時間の平均値です。
平均エンゲージメント時間が長ければ、それだけユーザーの興味を刺激し、読まれている良質なオウンドメディアということになります。

ただし、平均エンゲージメント時間が短いからといってオウンドメディアが効果的に運用されていないわけではありません。オウンドメディアでは、平均エンゲージメント時間に加えて、セッション継続時間も確認しましょう。

平均セッション継続時間

ユーザーが各セッションにおいてサイト内に滞在した時間の平均値を表す平均セッション時間。この指標が多ければ多いほど、ユーザーが興味を持ってオウンドメディア内を回遊していることがわかります。

SNSシェア数

最近は、オウンドメディアだけでなくインスタグラムやX(旧Twitter)のようなSNSも活用したメディア運用をするのが当たり前になりつつあります。SNSは検索エンジンではなかなか獲得できないユーザーを獲得する大切な入り口となっています。
オウンドメディアがより多くの人の目に留まるためには、SNSでどの程度拡散されているのかを測るSNSシェア数も重要な指標となるでしょう。

3-3.「SMART」を意識してKPIを考える

オウンドメディアのKPIを設定する際には、メディアの目的となるKGIにあったKPIを設定できているかどうかを常に見直して行くことが大切です。また、SNS施策なども始めたなら、こうしたSNSの影響を図るKPIも設定しなければいけません。

KPI設定時には、次のポイント(SMART)をおさえられているかを必ず確認しておきましょう。

  • S(Specific)|目標が明確かどうか
  • M(Measurabe)|計測して数値化できるものかどうか
  • A(Achievable)|達成可能なものかどうか
  • R(Relevant)|関連性があるかどうか
  • T(Time-bound)|期限が設けられているかどうか
<SMARTを意識した新卒学生向けオウンドメディア運用の例>

たとえば、新卒学生向けの人材採用を強化したい場合。

採用オウンドメディアの目的は、より多くの就活生の目に留まり、「応募したい」と思わせることとなります。

これが、SMARTにおける【S】。

この効果を図る指標として、設定するのはたとえば「インターン応募数」や「エントリー数」「オンライン説明会への参加」などの具体的な数値化できる成果となるでしょう。これがSMARTにおける【M】です。

KPIの数値のなかでたとえばCV数を目標に据えるなら、まずは中間地点として達成可能な値にするべきです。また、KPIは、就活生に届いているかを図るための指標として据えるべきですから、関連性があるかは慎重に判断することが大切でしょう。

4. KPIはどうやって測定する?

すでにオウンドメディアのKPI設定を考えている方の多くが、オウンドメディアの効果を測定するなんらかのツールを使っていることでしょう。
ここでは今お使いのツール以外の選択肢もあるということを知るために、KPI測定におすすめの無料ツールを紹介します。

4-1. Googleアナリティクス

オウンドメディアのKPI測定をする上で不可欠とも言えるツールがGoogleアナリティクスです。

KPI指標の多くが把握できるだけでなく、コンテンツごとの閲覧数やCV率の設定、キャンペーンページの流入数やSNS広告の効果なども客観的にデータで把握できます。

Googleアナリティクスを使うには、オウンドメディア内に計測タグを埋め込まなければいけません。サイト公開後に後から設置できますが、サイトを作る際には、制作会社に計測タグを設置したい旨を忘れずに伝えるようにしましょう。

【Googleアナリティクス】
http://www.google.com/analytics
利用料金:無料
※利用には、Google アカウントの作成とログインが必要です。

4-2. Googleサーチコンソール

SEO施策でオウンドメディアの閲覧数を増やそうとしているなら、その効果を図るためのツールとして活用したいのが、Googleサーチコンソールです。流入クエリ(どんなキーワードでサイトを訪れているか)や、自然検索流入数、各キーワードごとの検索結果順位などが分かります。

オウンドメディアではこれを活用することで、コンテンツの改善に加えて、コンテンツを増やす上でどんなコンテンツ内容が良いかを考えていけます。

また、オウンドメディアを長期的に運用している場合。過去に投稿した検索順位の高い記事をリライトすることで、より充実したオウンドメディアの作り込みもできるでしょう。

【Googleサーチコンソール】
https://search.google.com/search-console/about?hl=ja
利用料金:無料

4-3. Microsoft Clarity

画像出典:https://clarity.microsoft.com/lang/ja-jp

ユーザーがサイトのどの場所をクリックしているのかなどがわかるヒートマップを無料で活用できるのがMicrosoft Clarity。

コンテンツ内容に加えて、オウンドメディアのサイトデザインや設計にも役立てられます。

たとえば、

  • 社員の顔が写っている画像はクリック率が高い
  • 2スクロールでユーザーが離脱していることが多い

などがわかれば、ユーザーが関心を示すコンテンツの配置や、見せたいコンテンツをどこに配置するかなどを考えられます。こちらも無料で使えるので、ぜひ登録して自社のオウンドメディアの運用に役立ててみましょう。

【Microsoft Clarity】
https://clarity.microsoft.com/lang/ja-jp
利用料金:無料

まとめ:オウンドメディア運用はKPIで定期的な評価と改善を繰り返すべし

せっかく立ち上げたオウンドメディア。時間をかけてコンテンツを作り投稿するからこそ、より目的にあった運用をするためにKPIを活用してみましょう。

KPIの設定は、オウンドメディアの成長度合いを測る目安にもなりますし、担当者のモチベーションにもつながります。

ぜひ、今日ご紹介したKPIを参考にしながら、まずは自社のオウンドメディアの立ち位置を客観的に把握して、より良いコンテンツの充実や、サイトの動線設計の見直しなどに活かしていきましょう!